2013年10月20日日曜日

京都学園大学のセクハラ事件の検証-17 20131020


被害者をこれ以上出さないために 
このような経過で一人の若者が亀岡を去った。そして加害教員は解雇され、
平和なバイオ環境学部が戻ったようである。一人の若者と書いたが、同じ加害教員のハラスメントによる傷を負った二人の学生がいたことを教員は忘れてはならない。それだけではない。別の教員のセクハラを受けて、黙って亀岡を去り、故郷に戻って仕切り直している学生もいる。彼女は誰にも話さないことを条件に、そのセクハラの様子を告げてくれた。当時の学部長は為す術を持たず、退職していた小生に加害教員の進退をなんとかしてくれと求めてきた。2010年7月24日のことである。その後、当人と話し合って、大学を去ってもらった。このように、当時の執行部には、学生を教育する場にいるのだとの責任感が見当たらなかったし、次の執行部も、すでに記したように同質、同程度である。
 その無責任さにやりきれなくなった最初の被害学生が、勇気を出して司法に訴えてくれたことを教員は感謝すべきである。そして、その和解書に記された下記の和解条項を真摯に受け入れ、実行してほしいものである。果たして何をするのかと、何ができるのだろうかと、和解した7月以降の大学、学部、全教員の振る舞いを社会や受験生や在学生が見ていることを忘れないでほしい。
 
和解条項
 『○被告京都学園は、原告(被害学生のこと)に対し、京都学園大学ハラスメント調査委員会作成に係る平成25210日付け調査報告書において、被告の原告に対する各行為がセクシャルハラスメントに該当すると認定された事実、同調査委員会作成に係る調査報告書において、「原告のセクハラ申告に対する学部の対応として問題がなかったとは言えない」との結論が出された事実及び京都学園において原告のみならず後輩学生の被害防止について具体的な対策が出せずに被害を発生させてしまった事実を真摯に受け止めるとともに、本件に関して原告が多大な精神的苦痛を受けたことを謝罪する。
○被告京都学園は、原告に対し、全学を挙げて学内でのセクシャルハラスメントの再発防止に取り組むことを約束する。』

2013年10月14日月曜日

京都学園大学のセクハラ事件の検証-16 20131013


謝罪なき終結などありえない
 15回に亘って、京都学園大学のセクハラ事例を取り上げてきた。この問題は学園大学としてはすべて終わったと思っているようである。形式的には、加害教員を懲戒解雇処分にし、彼から出されていた処分取り消しの裁判と、被害学生から出されていた裁判の双方を和解した故に形式的にはすべて解決したということである。たぶん学部長も学長も理事長もセクハラ調査委員長も、そしてすべての教員が何も思い出さないで毎日を過ごしていることだろう。ホツパラの日々だけが問題にしているだけと思っていることだろう。和解が成立する半年くらい前だろうか、被害学生の指導副査の教授に出会ったら、「あなたがやっている問題以外にバイオ環境学部ではトラブルはありません」と宣った。この責任ある現職教授にとって、彼の学生が被害を受け、調査委員会に提訴し、当時進行形の事案が自分とは何の関係もない事柄であり、「あなたがやっている問題」でしかなかったのである。まして、一段落した今日、彼にとっては「そんなことがあったかな」ということだろう。検証-9にも書いたように、バイオ環境学部の責任者たちが被害学生に謝罪しないかぎり、裁判で決着が付いたとはいえ関係なく、大学内の問題は終わらない。だから、どのような言葉で謝罪するかは重要であり、その言葉が何かによって、大学のハラスメント対策の今後の方向性が決まると思うから。

2013年10月11日金曜日

京都学園大学のセクハラ事件の検証-15 20131011


1年10ヶ月を費やした調査委員会の結論?!

 学部長のパワハラに関する調査委員会の結論は以下の通りである。
 全文を引用する。

 4 結論
 以上のとおり、申立人のセクハラ申告に対する学部の対応として問題がなかったとは言えなが、相手方(注 金川学部長のこと)は、学部長として、申立人のセクハラ申告に対し、適宜調査の上、申告の内容や争点の有無、申立人の意向等を迅速に把握し、執行部会を主導して、学内規定に基づく処理を基本としつつ、申立人に対する教務上、学籍上の不利益を回避するような処置を行うべきであったと言え、この点が今後の課題となることを付言する。

 以上が調査委員会の結論である。学内規定では被害者以外でもハラスメント委員会に提訴できるにもかかわらずできないと言って放り出したこと、教務上や学籍上の不利益が現に発生させたにもかかわらず回避するような処置を行わなかったことをパワハラであると訴えたのである。それなのに、なぜ「今後の課題」と終わるのか。そこには、自分たちが学生の人権を守る立場にいるという認識がまったくない。学生の人権を守れない大学は教育機関とは言えず、今後も発生するであろうハラスメントの被害を受ける学生は、このような質の悪さの中で、放り出される悲劇が続くだろう。

2013年10月9日水曜日

京都学園大学のセクハラ事件の検証-14 20131009



何を明らかにしようとしたか分からない調査委員会

 調査委員会は学部長側に立つことを前提としてパワハラの有無を検討しようとし、多くの問題点を内包した報告を作製した。たとえば、「そもそも学部にはセクハラの問題を組織だって解決するルールや迅速かつ適正な処理を行う体制が整っていなかったことが原因と思われる。にもかかわらず、安易に申立人の申告を受け、漫然と調査等を行った結果、被害学生に事情聴取の負担のみを負わせ、・・・申し立て人が求めた後輩の被害防止についても具体的な対策は出せなかった。」と記しながら、「任期制の学部長という役職にある相手方(学部長のこと)の責任のみを問うことは躊躇されると言うべきである」と結論している。なぜ躊躇されるのかはまったく説明されず、そのような学部長ならば執行部や教授会を取り仕切るべきではないと結論するべきでないのかと思う。さらに、「学費の未納による除籍は回避する必要があるとの認識があり、その対策として執行部で資金を出し合って申立人に提供することを協議していたことなどを考慮すると、これもハラスメントに相当する学部長の不適切行為とまでは言えないと考えられる。」と記し、あたかも執行部が学費を被害学生に代わって納入しようとしたかのように印象づけているが、被害学生のまったく知らないことであり、執行部内での単なる会話でしかなかったことを、学生を思いやるかのような演出を調査委員会にしただけである。このようなことを報告書に採用記載しているとは、これが教授と弁護士が書いたものであるとははずかしいの一語に尽きる。このような調査委員会がどのような結論を出したかは次回に記す。

2013年10月8日火曜日

京都学園大学のセクハラ事件の検証-13 20131008



 学生は救済せず、学部長は追及しない調査委員会

 京都学園大学ハラスメント調査委員会(委員長 森田敬信)の学長内山への調査報告書(2013210日付け)を見ながらこのブログを書いている。この調査委員会報告書は22ページに亘るものであるが、学部長によるパワハラなどは当初からなかったものであるとの結論を導くために費やされた報告文である。被害者が「パワハラの実態調査と被害者救済」を申し入れたにもかかわらず、大学のハラスメント規定内にある「アカデミック・ハラスメントとその他のハラスメント」の成否について判断するとしている。これは一般教員にも適用される条文であり、被害者が学部の責任者としての学部長による裏切り行為(パワハラ)とは異なるハラスメント条項を適用したものである。だから、この解釈を採用した段階から、学部長によるパワハラはないとの前提で調査は始められた。
 そして、学部長が被害学生のことを思いやっているかのような発言を随所に記載し、パワハラなどはなかったことにしている。例えば、「申立人(注:被害者のこと)は大学院をやめるし、早くセクハラの件を忘れて次のことをしたいという希望であると(注:学部長は)思っており、調査の方針として、申立人にあまり過去の嫌な出来事を思い出させたり、心の負担になることはやめようと考えていた」といかにも学生思いのような文言を引用している。しかし、「大学院をやめるし」と証言したように言っているが、セクハラ被害者がどのような教育環境ならば、セクハラから立ち直って勉学を続けることができるかとの対策を示すこともせず、本人が退学したいと思っていると執行部会議などで発言していた。このような無責任な行為はパワハラに相当すると学部長を訴えたのである。学部長を筆頭とするバイオ環境学部教授会全員への失望から、当然のこととして被害者は「やめたい」心境となったのは事実であるが、退学届けを出すまでは、学部長は勉学継続を可能とする対応をしなければならない。それをまったく怠り、「本人が大学をやめると言っている」と断定するような発言をしたのは学部長本人である。さらに、現学部長となった深見教授の発言(本ブログの検証-4)「被害を受けた学生が、被害を受けながら同じところの大学院に進学するのは理解できない。」など、およそ教育の場にいる人間と思えない多くの発言が被害者をして「やめたい」心境にさせたことが学部全体のパワハラであり、その代表者として学部長を訴えたのである。

2013年10月5日土曜日

京都学園大学のセクハラ事件の検証-12 20131005



学部長のパワハラ

 京都学園大学のホームページにはハラスメントの定義が掲載されている。「ハラスメントとは、人格を傷つけ、学生の快適な教育環境を害したり、教職員の円滑な業務遂行の妨げとなるものです」とある。そして、パワハラについては、「職務上の地位を利用して、不適切な言葉や行為によって、部下や同僚に不利益を与えること」であり、具体的事例として以下の項目を揚げている。「・業務における通常の指導の範囲を超えて、相手の人格を傷つける、・昇進昇格等を妨害する・相手を無視したり、孤立させたり、相手の信用を傷つける、など」である。他大学でも教職員間のハラスメントとして扱われているが、ここで問題にするのは、学生の人権を守る責務がある学部長が学生の人権を愚弄した行為を学部長によるパワハラであると主張するものである。積極的に相手を傷つける行為は当然のこととして、守るべき者を守らなかった行為もまた責任者としてのパワハラである。
 この学部長のこのセクハラ事案での対応の変遷を以下に記す。
120106月〜8月末ころ:被害者から被害の実態を聞き取り、被害者の居室変更など積極的に対応しており、学部長はハラスメント委員会に提訴すると公言していた。
28月末:加害教員への対応を一変し、今後も学生指導を容認すると表明し、理由は述べずに、ハラスメント委員会への学部長による提訴もできないと表明。
311月:内山隆夫学長や西井理事長や弁護士と相談し、加害教員の行為は懲戒処分に相当しないと判断したと学部長は教員に報告。
420111月:加害教員に「詫び状」(本ブログ201394日掲載)を渡し、加害教員に全面降伏し、被害学生を切り捨てる。
52月:加害教員に厳重注意を言い渡したと学部長は表明したが、誰もその内容は知らない。「詫び状」との関連性も説明せず。
6)以降は、被害者救済のまともな対応は一切なし。

 以上の経過をみれば、この学部長に教育者としての資質など微塵も見えず、被害学生が言うように、「被害者を玩んだだけ」である。故に、金川学部長をパワハラとして防止委員会に提訴した。それにしても、このような経過を検証することなく、学部長の責任を問わなかったバイオ環境学部教授会の責任も重大であり、今からでも遅くないから、この問題の検証を調査委員会とは別に教授会はやるべきである。調査委員会の報告内容は次回に詳述する。

2013年10月2日水曜日

京都学園大学のセクハラ事件の検証-11 20131003

セクハラ被害者は学部長からパワハラを受けた

 セクハラ被害学生の代理人となり、大学のハラスメント防止委員会に提訴したのは、被害者が第三者に被害をはじめて話してから1年後である。その1年間に学部長や学生主事、あるいはハラスメント相談員が問題解決に努力し、被害者の救済と学業継続を可能にしてくれるものと期待したからである。だから、被害者は被害実態を学部長や執行部に話したのだが、彼らの対応は実に無責任の一語につきる対応で、ハラスメントそのものである。すなわち、被害者救済の責任者であるはずの教員がセクハラ被害学生の人権をさらに踏みにじり、被害者の言葉を借りれば、「まさに、私の被害と私を玩んだだけです。学部の総責任者の為すことではないと思います。だから、金川学部長がこの1年以上に亘って私にしてきたことはパワハラだと思います。」(調査委員長への提出文書)。それゆえ、セクハラ加害教員を提訴すると同時に金川貴博学部長をパワーハラスメント加害者として訴えたのである。彼らの対応を検証しておくことは今後のあらゆるハラスメントの防止と被害者救済の基本となると考える。