京都市による自衛隊への宛名シール提供に抗議する声明
2019年4月11日
わたしの個人情報を守って!市民の会
京都市は、2019年4月8日、多くの市民の批判がある中で、2019年度に18歳及び22歳になる京都市民2万6601人分の宛名シールを、本人の同意を得ることなく、自衛隊京都地方協力本部に提供した。
これは、市民の憲法上の権利であるプライバシー権及び自己情報コントロール権を侵害するものであるとともに、法令の根拠なき個人情報として京都市個人情報保護条例にも違反する。
京都市は、この間、当事者である若者や保護者が、市個人情報保護条例に基づく利用停止請求を行ったことに対し、当初、請求には応じられないとしていたのを、請求自体は認めないが、請求者については事実上宛名シールから除外すると方針転換した。それなら対象者全員に周知可能な方法でその旨の情報提供を行い、十分な熟慮期間を設けた上で、個々に意思確認するのが筋であるが、それらを怠ったまま提供を強行した。そもそも宛名シールの提供自体が違法であるが、これを違法でないと強弁する市の立場に立ったとしても、これは市民の権利に対して配慮を欠くものと言わざるを得ない。
しかも京都市は、私たちがこの間宛名シールの提供時期について何度尋ねても、「検討中」の一点張りで一切答えなかった。もしも提供時期が明確にされていれば、市民にとって利用停止請求を行うべき期限は明確となるが、市はそれを殊更に曖昧にした。それでいて京都市会議員選挙の投票日翌日に突然提供するというのは選挙での争点化を避けて市民の目を欺くアンフェアなやり方と言わざるを得ない。
本年2月、安倍首相は、地方自治体に対し自衛官募集に協力していないと事実無根の非難を加え、それを理由に憲法9条改憲を呼びかけるという筋違いの主張を行った。その下でも、福岡市や宇治市、向日市、亀岡市など名簿提供は法的根拠がないとして応じないとの判断を行った自治体や、神奈川県葉山町のように名簿提供から閲覧に戻した自治体がある中で、京都市の前のめりな姿勢は全国的にも際立っている。それは本来国と対等な立場にある地方自治体の自殺行為とも言える。
背景には、2015年の安保法強行により海外の戦地での危険な任務が増大していることも相俟って、自衛隊への応募者が減少し続けている事情がある。自衛隊が専守防衛と災害救助から逸脱する変質を遂げたことがその根源にある。海外派兵と9条改憲を推し進めながら、違法な個人情報の提供を続けても解決の出口はない。少なくとも憲法違反の安保法を廃止して、自衛隊員の命を守ることこそ求められている。
私たちは、今回の京都市の措置に厳しく抗議し、今後は宛名シールの提供を見直すよう強く求める。併せて、私たちは多くの市民ととともに、今年7月の参議院選挙、来年2月の京都市長選挙等においてこの問題を争点することを含め、今後も見直しを求める運動を強める決意を表明するものである。
以上
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