防犯カメラ設置に関する質問に順にお答え致します。
まず、山科区における地域団体の防犯カメラ設置に対する本市からの補助金については、〈山科区防犯カメラ設置促進事業実施要綱〉に基づき支給することとしております。
今回、陵ヶ岡学区自治連合会から申請のあった防犯カメラの設置については、同要綱の定めている、
1) 京都府の「防犯カメラの管理・運用に関するガイドライン」に基づく管理運用規定が定められていること。
2) 設置場所の所有者の同意を得ること。
3) 議事録の写しなど、地域団体として防犯カメラを設置することを決定したことを証する書類の添付すること。
などの要件を満たしており、申請に不備はなかったものと判断しております。
また、山科区役所を通じて、自治連合会に確認しましたところ、石田様からのご意見を受け、自治連合会長が2度、直接、石田様とお会いし、お話をされたと伺っております。
このように、実施要綱に則った申請であったことからこれを受理し、山科区役所において、補助金の交付手続きを致しました。
自治連合会は、石田様ご指摘のとおり任意団体であり、その意思決定は住民の皆様で定められた規約等に基づき行われております。今回の防犯カメラの設置に付いては、地域住民の大多数が加入されている自治連合会の会議で決定されたものであり、石田様がおっしゃる行政による強制執行に相当する行為とは考えておりません。
ただし、防犯カメラは常に肖像権やプライバシーに配慮して設置すべきものであることは当然のことであり、その撮影範囲は必要最小限に留めるべきものと考えます。今回の設置について、山科区役所を通じて自治連合会及び設置業者に照会しましたところ、石田様のご自宅は撮影の範囲に入っていないことを確認しております。
平成21年の東京地裁の判例では、隣家の日常生活を常時カメラで監視することは、社会通念上受認すべき不利益の程度を越えた不利益である、とプライバシーの侵害を認めておりますが(東京地判平21・5・11判時2055.85)、今回の設置は、言うまでもなく特定の個人を常時監視するものではなく、安心・安全のため、自治連合会の役員の皆様の総意として、その必要性を認め設置されるものであることから、受忍していただくべき範囲内のものであると考えております。
次に、防犯カメラの有用性についてですが、平成22年,23年の2年間かけて、神奈川県川崎市で学識経験者等の専門家により大規模に実施された調査・研究によれば、防犯カメラ設置地区の刑法犯認知件数は、カメラ設置前と比べ大幅に減少したとの結果が出ております。(平成23年3月〈警察が設置する街頭防犯カメラシステムに関する研究会 最終とりまとめ〉)
また、京都府警においても、平成26年に市内の3地区を抽出して防犯カメラ設置の効果検証を行っておりますが、防犯カメラ設置後は刑法犯認知件数が5割以上減少したとの報告を聞いております。もちろん、防犯カメラはすべての罪種で同じ効果が期待できるものではなく、また、防犯カメラ単独よりも、他の防犯活動と併せて取り組むことで、より高い効果が期待できるものです。
これまで申し上げてまいりましたとおり、本件に関して石田様に対する人権侵害はないものと考えております。なお、石田様からご質問のありました内容についての相談窓口は京都市にはございませんが、人権侵害全般に関するご相談については京都地方法務局が常設人権相談を、法律的な側面からのご相談であれば、各区役所で市民法律相談を実施しております。
京都市では、平成23年度から、地域団体の皆様が防犯活動の一環として設置される防犯カメラに対して補助をする制度を全市的に実施しております。
平成26年7月には京都府警察本部長と私とで、「世界一安心・安全おもてなしのまち京都」を目ざす協定を締結し、さらに予算を拡充して取り組んでいるところでございます。
山科区は刑法犯認知件数の減少率が全行政区で一番大きく、昨年の件数は一昨年に比べ約3割も減少しております。これも地域による防犯カメラの設置をはじめ、全学区で取り組まれております防犯パトロールや子供の見守り、防犯プレートの設置等の熱心な取組の成果であると考えております。
今後も京都市ならではの地域力を最大限に活かし、世界一安心安全でやさしさあふれるまち・京都を実現するため取り組んでまいる所存でございますので、防犯カメラの設置についてご理解を賜りますよう、私からも改めてお願い申し上げます。
敬具
平成29年4月12日
京都市長 門川大作
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